7シーズンにわたる「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」との辛く厳しい対決(?)を終え
いやーずっと観たかったんですよね、「アイリッシュマン」。
監督がマーティン・スコセッジで、しかもテーマはマフィアもの。
さらにロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが出ていると聞き
否が応でも期待は高まります。
尺は209分。大作です。ーえ? 3時間29分?
ワタクシの持論として「映画は1時間45分を超えると冗漫」だと思っています。
大体2時間以上の映画は監督の意見が観客に押し付けられすぎていて
つまらなくなる可能性が高いからです。
(というかワタクシの集中力が2時間超えるとなくなるー子供か?)
しかし、「オレンジ・イズ…」なんて13エピソードを7シリーズだから
一話1時間として−91時間…。
これに比べれば3時間半見るなんて児戯に等しいではないか。
なんとなく安心して見始めました。
(…でも、途中で休んでいい?)
ーそれにしてもアレ91時間も観てたのか…。
ワタクシなんてヒマな人なんだろう?
監督 マーティン・スコセッシ 脚本 スティーブン・ザイリオン
巻頭、老人ホームの移動ショットで
カメラは一人の老人に近寄ります。これがデニーロ。
このデニーロの語り、回想として映画が進行していきます。
まさに監督=デニーロ=パチーノという
下り坂の老人トリオ(他意はない)らしい切り方。
実在の人物が登場します。
スコセッジは丹念に時代を再現し、大人な仕事ぶり。
ホゲーと見惚れているうちに若いトラック運ちゃんだったフランク・シーラン(デニーロ)は
マフィアの一員になり、全米トラック組合委員長のジミー・ホッファ(パチーノ)に
紹介され、出世していきました。
とても長い長いスパンの、シーランの一生を網羅する映画には
3時間半はかかるだろうと納得。
映画があるべきポイントを掴んだ、破綻のない作品でありました。
それだけに、正直、観ていて中だるみはするのですが、
最後は観終わった充足感が残ります。
長い一生の映画だけに、デニーロたちは30代だったり、50代だったり
80代ぐらいの設定になるのですが、このメイクがすごくて
全然違和感がない。
すごいなあと思っていたら、これが全部デジタル技術による特殊効果でありました。
なんでも一台に三つ以上レンズがついたカメラを3〜4台いっぺんに回して
いろんな角度から役者を撮影して、CGでシワとか皮膚感をいじってるそうな。
技術の進歩はすごい。(金かかりそう)
こんなのが昔からあったら、「ゴッドファーザーPARTⅡ」の
ドン・コルレオーネの若い時もマーロン・ブランド自身がやって
デニーロの出世も遅れたんじゃないかと思ってしまいました。
追記 親切なようで違和感ありありの日本語での字幕が随所に出てきます。
これは日本通を自認するスコセッジの仕業なんでしょうか?