配信ドラマ探検記 昭和オヤジがネトフリ・アマゾン・その他の密林を征く

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「地面師たち」ネトフリ100本鑑賞チャレンジ#67

地面師たち Netflix
 お寒うございます。阿覧澄史あらんすみしでございます。
 週末、2泊3日の家族旅行で愚妻と小四の娘とドタバタと美濃方面に行ってまいりました。
「なぜ美濃?」かというと、前回もお話しましたように娘が「文具オタク」でございまして
「古川紙工という会社のショップに行きたい」と妻に言い、
妻がその近くの温泉宿を探してとりあえず下呂温泉長良川温泉に1泊ずつ予約を取り
その後一切リサーチはせずに当日を迎える。というぞんざいな旅でございました。
(これはワタクシ不在のうちに決められておりました…)
 
 旅行当日。東京駅から新幹線に乗る際、新幹線のチケットはあったのですが
乗車券を買っていなくて(東京まで乗ってきたスイカは引き続きは使えないらしく) 、
窓口で買おうとしたら長蛇の列。
予約していた新幹線に到底間に合いそうにありません。
「なんで乗車券買っとかないんだよ!」
「前はスイカで決済できたのよ」
などと揉めた挙句、予定よりも2時間ぐらい遅い新幹線で名古屋へ向かうという
前途多難暗雲立ち込める出だしでございました…。
 その日は温泉街探索というラフな計画もあったのですが、遅れにより宿に直行。
でもまあ温泉は気持ち良いし、たらふくバイキングの夕食食べたし
よしとしようと眠りにつき、翌日、娘待望のショップに向かったのであります。
 
 インバウンドで溢れ返る下呂駅から美濃太田駅まで「特急ひだ」に乗って移動、
そこから長良川鉄道美濃市駅。ここから歩いて15分くらいのとこに
重要伝統的建造物群保存地区「うだつの上る町並み」があります。
(うだつというのは屋根の上にある、隣との延焼よけの庇(ひさし)みたいなヤツ)
うだつの上がらないワタクシがうだつの上る町並みを訪れるというのも
アイロニカルというか、もはやシュールな感じではありますが
あまり俗化されていないというか、端正で美しい街並みでございました。
しかしなぜか土曜だというのにお店とかあんまりやってなくて閑散としており
ゲロ(いや下呂)にはあんなにいっぱいいたインバウンドの方々も、ここでは見かけません。
ちょっと嫌な予感がしつつ、例のショップを探します。するとー

これが「うだつ」だ!


…やってませんでした。

営業時間とかではなく、改装とかでしばらく休業とのこと。
「なんで事前に調べとかないんだよ!」
「調べたけど、その時はかいてなかったのよ!」
とまたしても不毛な争いを繰り広げるのでございました。
 
旅行ブログみたいになってまいりました…。
まだ面白い話はいくつかあるのでありますが、
今回のテーマとは全く関係がありませんので、この辺でおひらきにして
(馬鹿話するだけしといて2階に引き上げる渥美清の寅さんみたいだな…)
ネトフリ今年一番の話題作「地面師たち」であります。
 
もう話題のピークは過ぎてる?
そうなんですよね…。
 
 
ネトフリ完全視聴チャレンジ その67 
「地面師たち」2024年 日本 全7話
監督・脚本 大根仁
出演    綾野剛 豊川悦司 ピエール瀧
 
 
「地面師」と呼ばれる不動産詐欺グループ。
それは分業化された巧妙な手口で土地の所有者を装って代金を騙し取る集団であった。
やがて彼らは小さな詐欺に飽き足らず、巨大な企業相手の大勝負に乗り出す。
そこに待っていたのは、思わぬアクシデント、裏切り、血みどろの争いであった。
 
 
 なんでも2024年の流行語大賞の候補にもなっていたという話題作であります。
(地主の本人確認をされるとき、ヤバそうになるとピエール瀧が「もうええでしょう!」
というセリフが流行語候補になったらしいが、誰かが使ってるのを聞いたコトない。
まあ、大賞の「ふてほど」も聞いたことないけど…)
 「韓流ファンのおばちゃん」ことOさんも「面白いわよ」と言ってたし、
モデルになった「五反田積水ハウス不動産詐欺事件」にも興味があったので
かなり期待して見たのでありますが、
「期待したほどではなかった」というのが本音であります。
 
 いや、そうは言っても面白いですよ。
充分見る価値のある作品だと思います。
いうならば伊丹十三の映画みたいな「作り込み感満載」の面白さがあります。
 
 目的に向かってチームが行動していく構築されたストーリー、
 地味な不動産詐欺を面白く見せるためのアクション、
 いい役者を適役で使ってお芝居をみせる演出プラン。
テレビの連ドラではお金なくて出来なかったこともきっちりと
作り込んでいるように感じられます。
 
 ワタクシが乗り切れなかったのは一点
「ハリソン山中」というリーダーのキャラクターであります。
あまりにも「フィクションぽすぎる」のです。
 こいつが「常識離れ」することによってストーリーが派手になり、
アクションシーンをやれるのでありますが
リアルな不動産詐欺からどんどん乖離していってしまうので
逆に日常的な「人間の怖さ」「切迫感」がなくなってしまったのでないかなと
いう気がいたします。
 五反田の、それこそワタクシなぞがフツーに歩いていた場所にあった廃旅館が
詐欺師集団が大手企業から何十億も騙し取る舞台になっていたなどという
すぐ隣でやってる大きな犯罪が面白いのでありまして、
「密室でビジネスマンが書類にはんこ押してるだけじゃ見せ場ないから」
というのであれば
「ハンティングのエクスタシーを求めて人を殺す」のではなく
あくまで「金目当て」「欲望むき出し」の殺し合いにして
ネットフリックスだからこそ「人間の業」的な怖さを
見せて欲しかったなあと思う次第であります。
 
最後なんかチカラ入ってしまいましたが、それだけ面白かった証拠だと
思っていただければと思います。(一応フォローしとこう。)
 
次回、チャレンジ第68弾は映画「ロマンティックじゃない?」(と美濃旅行続き?)
の予定です。