配信ドラマ探検記 昭和オヤジがネトフリ・アマゾン・その他の密林を征く

配信ドラマを見て批評したり感想を言ったり、ツッコミを入れたりボケたりします。

「シカゴ7裁判」ネトフリ100本チャレンジ#24

シカゴ7裁判 Netflix
桜もほころび始め、春めいてまいりましたが
なんだか春の憂鬱を抱えアンニュイな阿覧澄史あらんすみしでございます。
「オヤジのくせにアンニュイもねえだろう」とは思いますが
 新型コロナは未だ巷に漂い、海の向こうでは戦争が続き
古い知り合いが亡くなって葬式いったらカゼ気味になり
愛する横浜ベイスターズは「逆襲」を誓いながら開幕3連敗。
春のゆーうつには十分であります。
 
ま、ともかくネトフリ100本鑑賞チャレンジ24
映画「シカゴ7裁判」と参りましょう。
 
 
「シカゴ7裁判 (The trial of Chicago7)」2020年米
出演 エディ・レッドメイン サーシャ・バロン・コーエン
   ヤーヤ・アブ ドウル・マティーンⅡ
脚本・監督 アーロン・ソーキン
 
はっきり申し上げましょう。これは傑作です。
ワタクシ辛口というか、滅多に人のことを褒めない
自他ともに認める偏屈オヤジでありますが
そのワタクシがこの映画に関しては手放しで称賛、絶賛します。
 
このところネトフリのくだらねードラマばっかり見て(あ、口が滑って言い過ぎた…)
冷めかけていた映画への愛が甦るような思いであります。
 
大事なことなのでもう一度言います
これは傑作…(くどい。 お前はみのもんた か!)
 
何しろオープニングから素晴らしい。
主要な登場人物がシカゴに集まっていく様を
シンプルに、期待感を煽って見せ
人物紹介という必要なシークエンスをタイトル前に
過不足なくやってしまうのですからタダモノではない。
 
ワタクシ、思わず傑作の予感に打ち震えてしまいました。
ブルブルブル…。(漏らしたわけではない、そこまで老化はしてない)
 
誰だ監督と脚本は?
というわけで慌ててクレジットを調べたところ
脚本・監督は「ソーシャルネットワーク」の脚本で名を上げた
手掛けているとのこと。なるほどねえ。
 
そして映画は政府の陰謀シーンがあって裁判に突入していきます。
登場人物が集合していくところから始めると
普通は「事件」へ進むのかと思いますが
いきなり裁判から入るのも「巧い」ところであります。
 
同じ被告ながら、反戦の別グループの7人(正確には8人)の
足並みの揃わなさ(ヒッピーとインテリ坊ちゃん学生と黒人活動家と
真面目なハゲオヤジ)が面白くて、そこをフューチャーするのも
いいセンスだなと感心しきり。
 
さらに裁判は進み、意外な真相あり、陰謀あり、友情や嫌悪あり
そして
映画は感動的なラストへと進んでいくのでありました。
(当ブログはネタバレには十分気を付けております…)
 
何しろ脚本の良さが際立ちます。
実録・近代史的な映画だと大量に残っている資料に押しつぶされて
なんだかわからない映画になることも珍しくありませんが
この話を2時間ちょっとに
コンパクトにうまく、感動的にまとめ上げています。
 逆にうまくまとめ上げたということは、リアルな出来事を
端折ったり、ねじ曲げたりしてるということなのでしょう。
ソーキンさんは現代的なドラマというより、一昔前のオーソドックスな
アメリカ映画的良さを目指したような気がします。
(だからオヤジ絶賛なのか?)
 
しかしですよ、ワタクシは今こそこういう映画を万人が見るべきではないかと
思うのです。
権力や権威に屈せず、自由を守るというのは
むかしから映画が繰り返し、手を変え品を変え語ってきたことであります。
 
経済優先で政治が進み、金のために社会が動くこの時代こそ
こういう古臭い映画が必要なのではないでしょうか。
 
(なんか、変な論文の締めみたいになってしまいましたが、
 阿覧澄史あらんすみし おすすめ でございます。
 ぜひ「シカゴ7裁判」ご覧ください。)
 
(この項終わり)